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滝本 ミチル
滝本ミチルは中学一年生。イチゴが大好きな可愛い女の子である。
母親譲りの美貌に、父親譲りのシュッとした体型。スポーツ万能で、中学校のクラブ活動も陸上で中・長距離を走っている。中学校なのでまだ本格的な長距離は走らないが、もしかしたら3年生になる頃には全国大会も狙えるかもと言う陸上部ののヒロインである。
ミチルの帰宅は、部活動があるので大抵19時ころになる。
全国を狙えるという事で、結構ハードな練習をしているがミチルは音を上げたことはない。なぜなら、ミチルには練習が終わった後のご褒美が待っているからだ。
大のイチゴ好きのミチルだが、流石に一年中イチゴを買ってもらえるほど、家庭が裕福ではないことは分かっている。
なので、生のイチゴではなく、ジャムを食べるのだ。
ミチルのご褒美。
それは、イチゴジャムを一気に一瓶舐める事。でもそれにはやはりおいしいジャムがいい。
一番好きなのはダイニング〇ラスの「いちごジャム」果肉がゴロゴロ入っていて、酸味も甘みもバランスが良くて申し分ない。ジャムの出来上がりとしても丁寧に作られていてお値段にも納得はできるのだが、いかんせん、お高い。
400gで1350円。
この癖が始まったのは小学校5年生の頃。この頃からお年玉で他のジャムも合わせて、まとめて買うのが慣例になっている。
だが、このお値段の物を一気に舐めてしまうには今のミチルにとってはとても贅沢で、とても疲れた時や大会で成績が出せたとき様に部屋にしっかりストックしてある。
手近なものだとア〇ハタの「丸ごと果実いちご」これも美味しいのだがお高い。
255gで1564円。少し甘みが強いので疲れている時には最高においしく感じる。
普段食べるのは明〇屋の「果実実感ジャムつぶつぶイチゴジャム」
340gで356円。これはいつもお母さんが買って冷蔵庫に入れておいてくれる奴。でも一気に舐めてしまうと流石にばれるので、これも部屋にストックしてあるものを朝、冷蔵庫に移動して、ばれないようにしておく。
母の美幸はパートが15時までなので、ミチルが帰宅するころにはすっかり夕ご飯の支度もできている。
ミチルは帰宅するとさりげなく冷蔵庫に近づき、ジャムを取る。そして、部屋に洗ってしまってあるスプーンで、一さじ一さじすくって舐めるのだ。
その時の幸福感と言ったらたまらない。
そして、次の費用のジャムを、舐める前のジャムと同じところまで、新しいスプーンですくって減らし、お風呂に入るときにまた、冷蔵庫にしまってくるのだ。
父の鋼鉄は公務員で、17時には仕事が終るはずだが、帰宅は毎日19時半と少し遅めだ。勤務先の近くの合気道の道場に行っているらしい。
友達に自慢できるような父親だが、この春、練乳が大好きという、少々可愛すぎる変な癖が家族にばれてしまった。
この変な癖のせいで、一回ミチルの大好きなイチゴに練乳がかけられなかったということはあったが、他には誰に迷惑をかけるわけでもないので練乳くらい好きなだけ舐めたらよかろうと、ミチルは思った。
そして、お父さんの練乳が許されるのなら、ミチルのジャムもいつの日か許してもらえるのではないかと、ひそかに思っているのだ。ただ、大人になっているお父さんとちがって、成長期のミチルには絶対に
「体に悪い。」
などと言われそうで、まだ、家族には告白できていない。
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