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君を助ける百の方法
「きゃあっ!?」
教室に入った途端、黒板消しが落ちてくる――なんて。古臭い悪戯をする馬鹿がまだいるとは、まったく思ってみなかった。ぼふっと私の頭の上に落ちてきた柔らかいもの。舞い上がる白い粉。そして、廊下で上がる笑い声。
「あはははははは、引っかかった、引っかかった!ざまあないな浅井!」
「や、やっぱりお前か、磯波!」
私はギロリ、と自分の上に黒板消しを落とした男子を睨みつけた。自分と同じ、五年三組の磯波輝。ここ最近、やたらと私にばっかり絡んでくる悪戯小僧だ。
よく見たら黒板消しは、紐で括ってドアの上部に滑車を作り(何で無駄に器用な!)タイミングよく紐を緩めて私の頭上に落としたというやつらしかった。本人は廊下の角に隠れていたので見えなかったのである。
「今日はちょっといろいろ装置を工夫してみたんだぜ。俺ってばこういう工作大得意だからな!」
そう言い捨てると、どっぴゅー!と勢いよく廊下を走って逃げて行く少年。こんにゃろ、と私も慌てて追いかける。
「逃げるなてめええええ!お前もチョークの粉塗れにしてやるううう!」
ちなみに。磯波の馬鹿と追いかけていったせいで、教室に戻ってくるのは予鈴が鳴るギリギリになってしまった。友達とおしゃべりする時間もなくなった、オノレ!
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