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溢れる不安と涙と恋心
これ以上は聞いてはいけないと、あたしの中の本能がそう脳内に訴えてきたからゆっくりと藤さんから距離を離して乱れた服を整える。
さっきまで熱すぎるくらい火照っていた身体は一瞬にして冷えきってしまい、今は寧ろ寒いくらいで。
「あぁ、で?………わかった」
特に特別な言葉はかけず、簡単に相槌を打つ藤さんの声を聞きながら早く終われ…と願っていれば思いもよらない言葉が耳に入った
「――今から行くから少し待ってろ」
っ…………!!!
通話が終わったのだろう、耳からスマホを離した藤さんはおもむろに服を脱ぎ着替え始めるからあたしはそれを黙って見ているしかなくて。
部屋着のラフな服装から外用のシンプルな服に着替え、唇の端にタバコを銜える。そこでようやく置いてきぼりのあたしに視線を向けた藤さんは
「少し出るからお前は少し待ってろ」
何てことない表情で酷なことを告げた。
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