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「立てねえみてえだし泊まってけば?」
「……それは嫌、です……」
「なんで」
「なんでって……。藤さんこそ彼女でもないセフレ、とかに簡単に家教えたり泊まらせたりはしないほうがいいですよ」
あたしじゃなかったら変に期待すると思う。ううん、本当はあたしだって本当はちょっとだけ期待しそうになった。
でもあたしは知ってるから……。この人にそんな気がないことくらい。それに婚約者がいることを知ってるからこそ、辛うじてストッパーがきくだけ。
「セフレ……か」
「そうでしょう?」
「ま、茉那がそう思うなら今はそれでいいんじゃねえの?」
……"今は"ってどういう意味だろう。
なんでこう含みのある言い方をするかな。それも期待しちゃう要素のひとつだってこと、わからないのかな……。
いや、むしろわかっててやってるとか?
本当、藤さんの考えてる事は一切わからない。今だって会話を交わしながらあたしの腰をまるで労るように優しく手を上下に摩って撫でてくれて……。
たまにチュッて柔らかい唇の感触がするから、その度にピクって身体が揺れて熱くなる。
そしてその度に「敏感」喉で笑いながら優しい眼差しをあたしに向ける。
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