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『これ家の合鍵だから来る時使えよ』
『え!?それは……っ』
『この家仕事が詰まった時に籠るようの家だしホテルよりこの家のが何かと都合いいんだよ』
『…でも…』
『ホテルより家のが余計な金もかからねえしな。それに呼んだのに待たせんのもわりいし、お前が俺との関係切りてえ時に返してくれればいいから』
『……藤さんでもお金の心配するんですね?』
『……そっちかよ。俺より茉那がするだろ。いつも払う払う言ってうるせえし』
『それは…』
『それにお前は他人の家の鍵を悪用したり安易に誰かに渡すような馬鹿な女じゃねえだろ?』
自分の家の鍵とは違う鍵をボーーっと見つめる。
結局、あたしはこの鍵を強く押し返すことが出来なかった。
……だって、嬉しかった。
たとえ仕事用のプライベートの家じゃなくてもあたしみたいなセフレ止まりの女に合鍵まで渡してくれるなんて夢にも思わないでしょう。
でも嬉しさと同時に少しだけ怖くて……。
藤さん、少し無防備というか……。
確かにあたしは悪用するつもりないし安易に誰かに渡すつもりはサラサラないけどさ?でもわからないじゃん。
人は些細なことで豹変したり……ありえない話ではないのに。
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