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絢爛豪華な装飾が施された王の間で、キークはケトービスと二人きりで謁見していた。
煌びやかな硝子を贅沢に使用したいくつものシャンデリア。
その上で揺らめく無数の蝋燭が煌々と二人を照らしている。
壮年の国王は潤沢な食事で肥えているものの、生来の剛健さと燃える様な野心、そして欲望は今なお健在で、ただその場にいるだけで空気が張り詰めるようだった。
「ケトービス様、先ほど全ての裁判を終えましたことを報告いたします」
キークが玉座の前で跪くと、ケトービスは上機嫌で葡萄酒を飲み干した。
「キークよ、ご苦労であった。今年は妙に裁判の数が多かった様だな」
「はい。連日裁判続きでしたが、全てこの法典の御心に沿い判決を下してまいりました」
「ふむ。ところで今夜の祝賀会の準備は整っておるか? 先ほどから人を呼んでも誰も来んのだ。全く、使い物にならんやつらだ。王の命を無視するなど重罪だ。キークよ、城の者も皆裁いてくれはせんか? はっはっは」
回廊へと続く華美な装飾の施された扉を見遣りながら、ケトービスは不機嫌な顔を浮かべた後、卑しく笑った。
「ケトービス様、ご安心ください。すでに私が裁いて国外追放の処置を取らせていただきました」
「はっはっは! 流石はキーク。鉄の人は冗談まで固くて笑えんな! だがお前がいてくれれば儂も当面は安泰だ」
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