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「生みっつとオレンジュースひとつ、雛子はウーロン茶でいいか?」
オーダーを取りに来た店員に猛が言うと、
「あたしもウーロン茶」
と景子が言った。猛が言いなおし、店員が下がると、華子がふーん、という目で景子を見た。
「じつは、二人目ができて」
景子が自分のおなかに手を当てて言うと、
「すごーい!」雛子は両手で口元を押さえて目を見開いた。
「何カ月?」華子が冷静な口調で聞く。
「二か月」
「仕事はいつまでやるんだ?」猛が腕組みをして聞いた。
尋問するような両親を見て、雛子はもっと喜んでもいいのに、と思った。しかし景子は気にするふうでもなく、
「まー、ぎりぎりまでやるかな。りおの時もそうだったし」と答えた。
「でもあの時、切迫……」と華子がいいかける。その時を思い出したのか景子は考え込むような顔をして、じゃ、もうちょっと早く休もうかな、と言った。
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