舞い込んだ手紙

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舞い込んだ手紙

 水品さんが亡くなって二年が経過していた。  しかしHMR―3の開発は遅々として進まなかった。この間にも多くのALS患者を見送って、僕は本当に悔しい思いをしていた。  そんな時だった。病院での夜勤を終え自宅に戻ると、一通の手紙が郵便受けに届いていた。それは九州の福岡市の消印が押されていた。裏面を見ると差出人は……。 「水品京子。杏奈のお母さんだ」  僕は急いで手紙を開けて中を読んだ。その手紙を読みながら僕の目には涙が溢れていた。そして手紙を読み終わった僕は決意していた。  そのまま羽田空港に向かい福岡行きの飛行機に飛び乗った。そして空港からタクシーを拾い、九州大学病院に向かった。  入院棟のナースステーションに寄って病室の確認をする。しかし家族しか面会出来ないとの事だったので、杏奈のお母さんを呼び出して貰った。二年振りに会うお母さんは少しやつれて見えた。
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