彼女がいなくなった理由

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「イシャ ト シテ スバラシイ ミライ ガ アル アナタ ノ ジャマヲ シタク ナカッタ……。ワタシハ スグニ シヌカラ……」  彼女の両目は涙で一杯だった。 「ダカラ ワタシノ コト ワスレテ クダサイ。ワタシ アナタノ アシデマトイ ニ ナリタクナイ……」  僕は大きく首を左右に振った。 「杏奈。ゴメン。君の願いは聞けない。僕はまだ君を愛している」  杏奈は僕の顔を驚きの表情で見つめている。 「僕は必ず君を治療する。それが君との新しい約束だ。良いね?」  彼女が大きく首を左右に振っている。 「ダメ……」  僕は小さな溜息を吐いた。 「じゃあ、こうしてくれ。僕が君を治療出来たら、結婚してくれるね?」  彼女は大きな瞳一杯に涙を浮かべて僕を見つめていた。そして大きく頷いてくれた  それはニ回目のプロポーズの成功だった。でもこの段階では条件付だ。僕は誓っていた。ALSの治療薬を完成させて、この日の約束を絶対に叶えると。
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