エピローグ

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エピローグ

 ニ週間後、杏奈は再び帝国大学病院に居た。 「それじゃ杏奈。HMR―2を投与するよ」  ベッドに寝ている杏奈に僕の開発したHMR―2の点滴投与を始めた。これは杏奈のお父さんに投与した物と同じ新薬だった。彼には効かなかったが、遺伝性のALSである杏奈にはマウスと同じ効果がある筈だ。  投薬を開始してニヶ月後、杏奈の症状は劇的に改善して来た。僕はHMR―2が遺伝性ALSの特効薬として臨床を成功させたと確信していた。  僕はALSの特効薬を開発するという夢を叶える事が出来たんだ。  そして、杏奈とのあの日の約束も叶えないと……。 ーーー  「杏奈、どうだい? 今日の状態は」 「ええ、翔、とっても良いわ。明日から運動機能のリハビリを始める予定よ。とても順調だわ」  彼女は昔と変わらない発音で僕と会話が出来ている。構音(発音)障害は完全に治っている。
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