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「VF(心室細動)です!」
看護師が除細動器の心電図を読んでくれる。VFなら除細動で正常な律動に戻せる可能性がある。僕はまだ諦めていなかった。
「百五十ジュールにセット」
僕が叫ぶと看護師が除細動器のダイヤルを回している。
『充電中です。充電完了しました。ショック可能です』
「ショックを入れるぞ。離れて!!」
僕はパドル上部のショックボタンを押した。その瞬間お義父さんの身体がビクンと跳ねた。
「心拍は?」
除細動器の心電図を見ていた看護師は「まだ戻りません」と言った。
「もう一度だ。今度は二百ジュールで」
看護師がハイと言い、ダイヤルを回した。
『充電中です。充電完了しました。ショック可能です』
「お義父さん。あの日の約束を思い出して下さい。杏奈の花嫁姿を見るんでしょ! こんな所で死んじゃいけない。戻って来て下さい」
僕は神様に祈った。
「ショックを入れるぞ。離れて!!」
ショックボタンを押すと、先程よりも大きく身体が跳ねた。
しかし、お義父さんは戻って来てくれなかった。僕と杏奈はお義父さんのベッド横で泣き崩れた。
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