272話 再び聖女様の館へ

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 学園に戻って魔術陣の補習が行われないなら、卒業のためにもここで学んで帰るしかない。そう理解してマーレ様に了承を得に向かった。すると意外にもあっさりと話を分かってもらえた。震え上がるほどの怖い目に遭ったのだから、もっと拒絶するものだとばかり――ペネシア姫様に会えたことで気分も入れ替わったのだろうか? 杞憂で終わったことにホッとして早速三階の応接へ出向くことにしたのだった。  聖女様と『桃色の』と『白いの』のお姉様たち三人をドアの前で見かけた刹那、マーレ様の身体が一瞬硬直したけれど、深呼吸した彼女は応接室を歩み、『白いの』のお姉様の謝罪をすんなりと受け入れた。 『罰』や『制約』などを言い出すのではと心構えをしていたらしい聖女様たちが戸惑っている。 「こちらとしては、無理のない程度の要望は聞くつもりです」  遠慮をしないで――と首を振るマーレ様に聖女様が促す。 「この二日間、この屋敷から外泊させてもらえたことで、アタシは無事に学園へ帰省が出来ると確信が出来ました。それだけで十分でございます」  と、マーレ様が丁重に断りを入れて和解は成立した。  そして昼食後、ついに魔術陣の講習が始まる。
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