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そう言葉を濁す僕に、どういうこと? と二人はハテナと首を傾げたのだった。
聖女様の身になにかあれば、白眼である側仕えたちの居場所が危うくなってしまう。そのため彼女たちは聖女様を失うわけにはいかない。
それは命に代えても。
だから聖女様を守るために体を張ることを惜しまない。関節が外れようとも、骨が折れようとも、そしておそらく手足を失ったとしても。
翌日の朝食後、休憩を挟んで行われた側仕えたちとの合同鍛錬。
左腕が動かなくなってしまっている側仕えの右手が僕の首を掴んだところで『勝負あり』の声がかかった。
僕がどれだけ殴りつけたり、蹴りつけたりしても怯むことなく襲ってきた側仕え。王都の模擬戦だったなら、たぶん僕の勝利で対戦は終わっていただろう。
でも、この敷地内ではお姉様の判断で、致命傷が確実となる一歩手前まで続けられる。
ほとんど傷ついていない僕と側仕えの一対一の勝負は、どうみても左腕がぶらぶらとしている彼女のほうが敗者に見えるはずだ。
でも、勢いに負けてしまい、しっかりと首を握られてしまった僕に敗北が告げられてしまった。
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