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「まだ……」
お若いです、と言い切ってしまうのも違うような気がして口ごもる。それに読者に多くを求めるのもどうなんでしょう……。
「この歳になっても修行の日々だよ、山形くん。それで、伶来、いいんだな。時間がかかるぞ」
「全く問題はないかと。私は山形さんと一緒にいきたい」
「山形くん、次回の取材からこの娘につきあってくれないか?」
「山形さん、是非、同行をお願いします」
「あ、はい。僕でよければ」
僕は編集者としての資質を問われたのだと思っていた。そして修行すべきは赤江先生ではなく、僕、山形卓だと。
まさか、この父娘とのこのやりとりに別の意味があったことを、この時も僕は全く気づいていなかった……。
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