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多くの者が店の前を流れていく。
その中でふと、人の流れからひょいっと出て来た女性が目に着いた。
ラフな普段着に、
髪を高くまとめてひとつぐくりにしている。
黒い髪の健康的な美しさを持った彼女に、
男なら誰もが目を奪われたと思う。
彼女がカランカランっと店のドアベルを鳴らして入ってきた。
慌てて視線をガラスの外へと逸らす。
心臓は正直でいつもより高めの音を鳴らしている。
すると人ごみの中に黒い服の男達の姿が目にとまった。
あ、あれは…
グイジド
本部の特殊部隊の隊長。
黒いフードローブを着ている大きな奴らを数人後ろに従えているだけの、隊とは言えない小隊。
グイジドは目つきの悪い鷲鼻の男だ。
後ろのフードをかぶっている奴らは顔すら見えない。彼らが何者なのか一部の者しか知らなかった。
また、特殊部隊が何を行っているかは国王以外知る者はいない。
ただ、警備長からは絶大な信頼を得ている。
時々彼らは地方も回ってくる。
彼らが歩くだけでなんだか不気味な気がした。
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