アシュランティアの白と灰色

4/11
前へ
/45ページ
次へ
多くの者が店の前を流れていく。 その中でふと、人の流れからひょいっと出て来た女性が目に着いた。 ラフな普段着に、 髪を高くまとめてひとつぐくりにしている。 黒い髪の健康的な美しさを持った彼女に、 男なら誰もが目を奪われたと思う。 彼女がカランカランっと店のドアベルを鳴らして入ってきた。 慌てて視線をガラスの外へと逸らす。 心臓は正直でいつもより高めの音を鳴らしている。 すると人ごみの中に黒い服の男達の姿が目にとまった。 あ、あれは… グイジド 本部の特殊部隊の隊長。 黒いフードローブを着ている大きな奴らを数人後ろに従えているだけの、隊とは言えない小隊。 グイジドは目つきの悪い鷲鼻の男だ。 後ろのフードをかぶっている奴らは顔すら見えない。彼らが何者なのか一部の者しか知らなかった。 また、特殊部隊が何を行っているかは国王以外知る者はいない。 ただ、警備長からは絶大な信頼を得ている。 時々彼らは地方も回ってくる。 彼らが歩くだけでなんだか不気味な気がした。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加