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彼女は店の中を見ていて、
窓の外を見ようとはしなかった。
「どうですか?アシュランティアは?」
カイトは彼女の格好から
観光客だと思ったのだ。
「あ、…う~ん。
ちょっと兵隊が多いかな?って感じ。」
景色のことじゃないことに、
カイトは驚いた。
てっきりこの街並みだと思ったからだ。
でも、窓の外に目をやる。
わからなくもない…
「あ…やっぱりですか。
…威圧感とかあります?
と、言っても俺もですけど。」
とカイトは頭をかいた。
彼女はふふふっと微笑んだ。
「あなたも兵隊さんよね?。」
「いえ、我々は警備隊です。」
彼女は『?』という顔をした。
「我々アシュランティアの白服は、
兵隊ではなく警備隊の証、なんです。」
カイトは無意識に胸を張り、
声が少し大きくなった。
カイトは自分の仕事に誇りを持っていたからだ。
しかし、
ふ~ん。
彼女が興味なさそうに返事をした。
それに少なからずむっとした。
彼女に対して少しは良く思ってもらいたくて、カイトは話しを続けた。
このままでは誇り高き警備隊を少しも理解してもらえない。
「誰かと戦うことではなく、
世界中の守るべきものを守る、警備する。
この白い色は潔白な正義、そういう理念を持って創設された機関です。」
彼女の表情が一瞬止まった様な気がした。
カイトは彼女の表情に気を良くした。
「警備隊はあらゆる力に対抗できるよう、
文字通り最強でなければならない。
そのために我々は他に類をみない厳しい訓練を受けた者のみが、警備隊になることが出来るのです。」
「あなたを見ても、
そんな風に感じないわ。」
と彼女が笑った。
カイトもつられて笑った。
確かに、カイトは隊の中でもガタイがいい方では無かった。
ちょっとショックだったが、しかし、対抗しても大人気ないので気にしない事にした。
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