アシュランティアの白と灰色

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「じゃあ、あなたは色んな人から何かを守る人なのね?」 カイトは嬉しくてきっと満面の笑みだっただろう。 彼女がくすっと微笑んだ。 その視線にどきっとした。 「この世界には恐ろしい者達が沢山いるんです。」 「そうなの?」 「ええ、代々盗賊の民や、野蛮な賊などもいて我々は日々戦っています。」 「…盗賊の民?」 「ええ…あ、すみません…せっかく観光にしたのに、こんな話ばかり気分が悪いですよね。」 とカイトは頭を掻いた。女性は苦手だ。 何を話していいか分からなくなって、 いつも変なことばかり話してしまう。 「いいのよ、話してみてよ。」 彼女の目が笑っていなかったことに、 カイトは気が付いていなかった。 ただ話を聞いてくれたことに浮かれてしまっていた。 「何だっけ?盗賊、とか?」 「はい…。本当にいろんなもの達がいるのですが…最近聞いたのが、代々盗賊をする民族です。」 「へ~。」 「サイラスの民って言うんですが、 いろんな国の宝を奪っていくんです。 灰色の装束をトレードマークとして、 不思議な妖術と、巨大な獣を操る不気味な民族なんだそうです。」 「なにそれ、怖い。」 「俺は実際に出会ったことは無いんですが、任務についていてサイラスの民とかち合っている警備隊員は意外と多いんです。」 「そうなんだ。」 カイトは少し考えた。 「彼らはどんな人達なんでしょう… 俺には理解できない…。 彼らは、みんなの大事なものを奪うだけ奪って去っていくんです。」 カイトは語気が強くなった。 正義、それがカイトの強く持つ意志があった。 「彼らに罪悪感はないんでしょうか!? 盗みを生業にする者達なんて、 どんな理由があろうと、 曲がった方法での解決は恥ずべき行為です。 なのに、代々それを受け継いでいるだなんて、彼らには一体どんな色の血が流れているんだ。」 彼女は目を丸くしていた。 いけない。 つい、言い過ぎてしまったようだ。
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