ほらね、やっぱり生きたいんでしょ

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「もう、疲れた。人生良いことなんてなんもないし、俺に生きてる価値なんてない。……死にたい…」 「じゃ、私と一緒に死んでよ」 「は…?」 「私と一緒に死のうよ。2人なら怖くないよ」 「お前の死ぬの見たくないし、付き合って死んでもらうのはちょっと……」 「私も死にたいの」 「え、そんな困るよ…一緒に死んでもらうとか」 「私も人生疲れた。もう死にたいの、本当は…」 「………やっぱ嫌かも。まだやりたいことあるし……」 「ほらね。本当は生きたいでしょ」 「うん…」 「やっぱり、だと思った。」 あーあ、残念。 「俺、まだ死なんわ」 「うん。そっか。それなら良かった」 「お前の言葉で留まったわ。死にたいなんて嘘なんだろ。すごいな、よくそんな言葉咄嗟に出てくんな」 「……はは。こう言ったら、考え直すかなって」 彼はすげー、俺なら思いつかんわ。なんて言ってるけど、口から出たのは全部本心だった。 本当はずっと死にたいと思ってる。 人生全然上手くいかないし、ずっと疲れてるし、何もかも面倒くさい。生きてたくない。 でも、一人で死ぬのが怖いから、臆病だから、死にたいって口にした彼に一緒に死んでもらえると思って、これ幸いと思って言っただけ。 なんにも凄くなんかない。思ったことを言っただけ。 期待外れの言葉でがっかりした。 口ばっかりの死にたがりばっかり。 早く楽になりたい。
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