序章 製作

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序章 製作

         「ハーバー君に感謝しなきゃな」               序章 製作 とある倉庫の中、科学者にも医者にも見える白衣を来た幾人かが何か作業を行っていた。 「必要な物は…これだったか?」 そう言って男が手渡したのは、瓶に入った液体だった。 「おっと、気を付けてくれよ。 そいつの中身は高濃度の液体塩素だ、もし落としでもたら…俺らは一気にあの世行きだぞ」  そう言って男が瓶を受け取る。男の前には 瓶に入った活性炭素、水上置換法で集められた一酸化炭素が置いてある。  「ハーバー君(ドイツの科学者)に感謝しなきゃな、増えすぎた猿共を消すにはちょうどいい。ホスゲンは最高のガス兵器だ」 軽い笑みを浮かべながらそう言うと、その場にいた気の弱そうな男にとある質問をされた。 「なあ、生物兵器は使わないのか?、あれなら簡単に世界中の人間を消せる気がするんだが…」 その場に居合わせた別の男が質問に割って入る。 「そいつは、おすすめできないね。生物兵器は確かに簡単に人を消せる。 だけどね、あれは作ろうにも簡単に作れるものじゃないんだ。詳しい理由は割愛するけど、一番の理由としては、生物兵器を撒いたこちらが全滅なんて危険性が他の兵器に比べて段違いに高いからだよ。遠心分離機なんかでワクチンを作ろうにも、ここにある設備だけじゃあ無理だよ。」 ホスゲンを作っていた男が答える。 「その通りだ、ガスはある程度狙った場所に散布できるが、生物兵器なんかはもし狙った場所に散布できても、ハエや蚊を媒体に体内に侵入してくる恐れがある。それに死体には菌が残り続けるからな。死体を燃やそうにも今回は屋内での作戦が殆どだ。」 相変わらず軽い笑みは顔から消えていないようだ。 変わらない調子で少し遠くの男に話しかけた。 「おいそっちの様子はどうだ?」  話しかけられた男は面倒くさそうに、少し呆れた顔で答えた。 「こっちはとっくに終わってる。 」 そう言った男の前には粉上になったポリスチレン、瓶に入ったベンゼン、ガソリンが置いてあった。 「これだけあれば、建物や木々燃やすのには十分だろう。しかしナパームっていうのは便利なものだな、爆発じゃなく燃やすことに重点を置いてる」 男は一人少し嬉しそうな声でそう呟きながら部屋を後にした。 同時刻、別の部屋で計画を練っていた一人の男が付箋だらけの世界地図をテーブル広げ、一通り目を通しその場にいた全員に聞こえる声で言った。 「まずは何処から崩すかな」 男は冷静に、自身に満ちた声で確かにそう言った。 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
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