1章 計画

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1章 計画

      「国民を嗾け、国の指導者を交代させればいい」 1章 計画 付箋だらけの世界地図を広げた部屋。その中の一人の男が切り出した。 「まずはサウジアラビアを攻めるべきだ。    細かな理由は幾つかあるが主に三つ、理由がある」  男は素知らぬ顔で説明を始めた。 「まず一つ目の理由だ、これにはアメリカが絡んでいる。 かつてサウジアラビアは世界一の産油国だった。だが、アメリカがシェールガス、シェールオイルの採掘を本格化したことにより、世界一の座を降ろされたわけだ。 それと並行しアメリカは石油を輸出する方向に向かっている。 市場が競合してしまうのでサウジアラビアからすれば面白くない話だ。 それに市場の主導権を握られてしまう危険性もあるわけだからな。」   男は一度辺りを見渡し再度理由の説明を始める。 「二つ目の理由だが、これはサウジアラビアが軍事的にアメリカに依存しているということだ。」 そこに別の男が割って入る。 「ちょっと待て、軍事的に依存しているということは、サウジアラビアを侵攻した際、米軍から攻撃を受ける危険性を孕んでいるんじゃないか?」 理由を説明していた男は、こう続けた。 「それは心配しなくていい、侵攻といっても、実際に軍事攻撃を仕掛けるわけではないからな。米軍からの攻撃を受ける可能性はゼロに近い。 それにアメリカは国内だけで石油の自給率を完結させている。 つまりサウジアラビア攻撃されても助ける理由が無いわけだ。 そしてサウジアラビアが武器を買わなくなったとしても、サウジアラビアの技術者がいなくともアメリカは何も困らない。」 (実際サウジアラビアが攻撃された際アメリカは防衛準備はしたものの、いざ軍事攻撃となると消極的姿勢を変えなかった。その上アメリカはサウジアラビアの政治問題、社会問題に口をほとんど出ないのだ。) 再度理由の説明を始める 「そして三つ目の理由は独裁政治という点だ。 サウジアラビアでは今様々な社会問題を抱えている。そのほとんどが国民の貧困や人権に関連するものだ、不満は募るばかりだが、国民はあまり声を上げない、そこで国民を嗾け、国の指導者を交代させればいい。それに国王はアメリカ製の武器を大量に所有しているからな、これはいずれかなり役に立つ。」   そこで一人の男が言う 「少し待ってくれ、交代させるといっても具体的にどうやるんだ? そして国の指導者を変えることができたとして、もし何も変わらなかったらどうするんだ?」 理由を説明していた男は待っていたと言わんばかりの笑みを浮かべこう答える。 「そこで私の友人に国王になってもらう」  男はこう続ける。 「すまない友人と言っても特別個人的に仲がいいと言うわけではないんだ。いうなれば私は彼の命の恩人というやつだ。」 そう言うと、男は昔話を始めた。 この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
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