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「いえ、張り込んでいます。布川さんはいますか?」
布川に代わった。
「よし、私が行く」
布川は拳銃を確認して署を出た。
「鈴木さん、今迎えが来ますのでその車でうちの署に行って休んでください」
「それは高橋の言い草だな。よす分がった。遠慮なぐそうさしぇでもらう」
鈴木は同僚の高橋の気遣いに感謝している。お互いに来年で退職する身、しかし刑事と鑑識では日頃の捜査や鍛錬により体力差がある。セダンが停まった。
「鈴木さん、さあどうぞ」
横田が鈴木をセダンに案内する。
「ご紹介します。伊勢佐木中央署の布川班長です」
横田が紹介した。
「米沢東西署の鈴木ど申すます。おらは鑑識課長務めでおるっすが、班長の高橋さ手榴弾の使用経験のある者ば同行さしぇだぇどの意で参った。宜すくお願いするっす」
「布川です。助かります、凶悪犯の逮捕に微力ながら協力させていただきます。今、うちの者が沖縄に飛んでおります。小型火器の売買で情報を掴みました。当たり外れは有るかもしれませんが潰せるものは潰して、芽があればとことん調べ上げるつもりです」
「それは助がるっす。高橋も喜ぶべ。如何しぇん殺すなんてながなが起ぎる町ではね。それが手榴弾だがらね。署もあだふたすておるっす」
鈴木は正直な胸の内を話した。
「それじゃ署に行きましょう。大したおもてなしは出来ませんが仮眠室でお休みください」
横田が降りて布川がエンジンを掛けた。
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