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「おめ、沖縄がら帰ったばがりだね。スーツケースさ荷札付いでる」
沖縄のブローカーから小型火器を仕入れた可能性を探っている。
「沖縄には何すに行ったのがな?」
「何しにって両親の故郷ですから、たまに帰りたくなります」
「里帰り?三日前さ免許証の紛失届出すてるね。それで日変わったがら昨夜が、もう帰って来だ。里帰りにすちゃすこだま短えね」
「仕事がありますから」
「沖縄の立ぢ寄った先教えでください」
伯父の家とは口が曲がっても言えない。
「特にありません、こっちで色々あって故郷の空気が吸いたくなる。そんなとこです。それとも何か理由がなければいけなんですか。旅行なんてそんなもんですよ」
あくまでも一時的な帰郷でやり過ごす。
「お一人だが?」
航空券は別々に購入した。小川は偽名で登録してある。沖縄も本土復帰してからパスポートは不要。国内線は乗客の身分チェックをしない。横田が戻って来た。
「ええ、一人です」
「沖縄で立ぢ寄った場所、全で教えでください。まさが昨日ごど忘れだどは言わしぇね」
鈴木が温厚な表現から一変、厳しい顔つきで言った。沖縄では小川の運転免許証でレンタカーを借りている。名城の形跡は辿れない。
「空港から歩いてぷらぷらしていました。海を見たり、そうそう、海人のマスターに頼まれた琉球ガラスのグラスを国際通りで買ったりとほとんど空港の近くから離れていません。たった一日ですから。それでも沖縄の空気をたっぷり吸い込んで気分が晴れました」
爽やかな旅行を装った。
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