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「驚くことはありません、初めから彼はそう決めて実行している」
徳田には佐々木の思いが通じる。自分ならそうするだろうと話した。
「どうすればいいんですか?」
「私が心配しているのは警察に追われてとち狂い他人を巻き込んでしまうことです。そうなれば美談の敵討ちは消えてなくなりただの殺人鬼に成り下がる。佐々木を討たせて自害させる。それが一番でしょう。それなら天国の母の下に行ける、他人を巻き添えにすれば地獄に落ちる。私は警察より早く小川を佐々木の前に出す努力をしましょう」
「お願いします。ところで旅費経費は別料金では?」
「結構です。これから先は私自身の復讐でもありますから」
「気を付けて」
「黒木先生、小川が一等賞を取ったら、賞状を上げてやってください」
徳田はその足で米沢に向かった。
沖縄風の朝食を済ませた。
「おふくろさん、ごちそうさまでした。横浜に戻ったらシュウマイでも送ります」
中西が渡嘉敷のおふくろに礼を言った。
「止めた方がいい、送料がシュウマイの何倍もする。だったら那覇空港で甘いもんでも買ってやってください」
渡嘉敷が答えた。二人は着替えて外に出た。
「おふくろさん、世話になりました。いつまでも長生きしてください」
「ぬーんならんなてぃ申し訳あいびらんたん。またあしびがちくぃみそーれー。うんじゅんあんまーてーしちに」
「何だって?」
「おふくろを大切にしろと」
「ああ、私は空襲で両親を亡くしました。五歳の時です。だから大切にしたくても出来ません、口喧嘩していた敏が羨ましい」
おふくろの眼から涙が零れた。
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