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「クワトウ?」
中西が根岸屋で掴んだ情報でブローカーの名前は『クワトウ』だった。
〔そうだクワトウ〕
渡嘉敷が独り言を言っている。
「クワトウ、クヮトウ、カトウ、加藤じゃないか?」
〔そうだクワトウ〕
トムが頷いた。
「分かりにくい訛使いやがって、ユー、百姓か?」
中西はトムを指差した。
〔ヒャク?」
トムには通じない。
「西当たりだな」
「ああ、こんな不良おやじでも役に立った」
渡嘉敷はデニス加藤とマサル杉本の死体安置場所にトムを連れて行った。
〔クワトウだ間違いない〕
渡嘉敷は署に電話を入れる。
「お前今どこだ?」
「那覇の死体安置所です。これから嘉手納まで参考人を送って署に戻ります」
「ちょうどいい、嘉手納で人殺しだ。すぐに向かってくれ。拳銃で撃ち殺されていた」
「まさか那覇の一件と同一?」
「分からん、横浜からの客はいつ帰る。忙しい時にいつまでも遊んでやる暇はないぞ」
「分かりました。すぐ向かいます」
トムを下ろして殺害現場に行く。
「西、近くで殺人事件が起きた。やはり拳銃で撃ち殺されている」
「同一犯か?」
「分からない。でもそんな気がする」
勘が冴える時がある。渡嘉敷には同一犯のように思えた。
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