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「二日間?」
「ええ、今日は29日でしょ、明日の晩まで二日間です」
前払いと言われて料金を支払った。
「ご案内しましょう」
女とは対照的に愛想のいい男が佐々木のバッグを持って先導した。
「これ気持ちだけ」
佐々木は男に千円のチップを渡した。
「ああそうだ、長靴が欲しいが近くに靴屋はあるかね?」
「古いので良ければお客様が置いて行かれた物がございます。履き古しではございません。お客様のようにこっちに来られてから必要に駆られて買うんですがいざ帰りには荷物になるから置いて行かれた物です」
「そうですか、それじゃお言葉に甘えてお願いしよう」
「お客様のサイズは?」
「25.5だけどもう少し大きくてもいい」
「先日お泊りになったお客様が置いて行かれて長靴が26でございます。洗って保管してありますのですぐにお持ちいたします」
フロントの男は長靴を提げて佐々木の足元に置いた。シャワーを浴び一眠りすると18:30.を過ぎていた。着替えて長靴を履いた。履いて迷った。この辺りでは洒落た店である。長靴で笑われないだろうか不安に駆られた。それでも靴の湿りはまだ乾いていない。迷っている場合ではない、長靴を履いてパブに出向いた。
「いらっしゃいませ」
若いホステスが出迎える。
「ママさんは来ていますか?」
「はいどうぞ、ご案内します」
若いホステスはママ指名と勘違いしてる。佐々木の身なりを見てビップ席に案内した。金はいくらでもあるが無駄はしたくない。少しでも多く斎藤の妹に渡したいと考えている。
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