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「名城は八百屋だ。缶詰店にあっこんだらたがいで来るごどもあんべ」
「んだげんと独り者で酒飲みがパイン缶二缶も買うべが。それにこれだ、よぐ見ろ、沖縄製造工場だべ」
「考え過ぎんねが、パイン缶二缶あっても不思議はね。好ぎ好ぎだ」
「朝鮮や台湾がら缶詰で覚しぇい剤密輸するケースも多い。沖縄土産でパイン缶だら怪すまれね」
二時間が経ち横田から電話が入る。
「店をちらっとですが一周しましたが缶詰は店頭に置いていません。それに怪しい客層は今のところいません。ただ男性客が箱詰めの果物を買っていました」
「その男はどだな服装すてだ?」
「グレーのズボンにワイシャツの黒っぽいカーディガンでした」
「タクスーの運転手のような恰好んねが?」
「はい、言われてみればそんな感じです、まさか」
「名城は居るな?動ぐ気配はねが?」
「はい、客が来れば店頭に出てくる感じです。昼を過ぎてから主婦の買い物客が増えて来ました。ほとんど店先にいます」
鈴木が立ち上がった。
「冷蔵庫確認すて来る」
「確認するって、どうやって?」
「裏でおらのこど肩車すろ。ベランダの手摺さ摑まって上がる。こねだ入った時は窓の鍵は掛がっていねがった。もす掛がっていれば仕方ね、割って入る」
「よす、おめがそごまで気になるのは鑑識の勘だな、それに賭げでみるが」
二人は喫茶店を出てベランダ側に回った。高橋が一階の手摺に手を掛けてしゃがんだ。
「さあ乗れ、靴脱げよ」
鈴木は靴を脱いで高橋の肩に乗った。
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