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「仕方ね。よす、金城ハイヤー手配すんべ、金城夫人さ無線連絡取らしぇんべが」
「無線で知らしぇだら逃げねべーが?焦らねで知恵絞んべ。もうこごさは戻ねべー」
逸る高橋の勇み足を鈴木が諭した。
伊勢佐木中央署の立番にレジ袋を渡した。
「沖縄のドーナッツだ。みんなで食え」
「いただきます」
中西は羽田からタクシーで署まで直行した。元同僚に並木と言う小柄な男がいた。時間があると警杖を突いて立番を務めていた。この並木に似ている。
「無理すんなよ」
「ありがとうございます」
立番の肩を叩いて署に入る。
「おい、中西、那覇南北署の渡嘉敷刑事から電話が何回も入っているぞ」
中西が部屋に戻るなり布川が言った。
「渡嘉敷から?」
指紋の照合が取れた連絡である。
「お疲れ様、飛んだ目に遭ったな」
課長が出て来て労った。
「いえ、色々教わることがありました。基地の街だから面倒なことがたくさんあるようです」
「だろうな、米兵の罪は大概見送られてしまうらしい。殺人でもやらない限りは手が出せないようだ」
課長もジレンマであるように話した。
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