都橋探偵事情『舎利』

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「ああもしもし、横浜伊勢佐木中央署の中西と申します。色々お世話になりました。渡嘉敷刑事はおりますか?はい、こっちへ飛んだ?何かありましたか?那覇でデニス加藤、マサル杉本を殺害した拳銃と嘉手納の金城源治殺害に使用された拳銃が一致。名城源治は弟の次男を養子に迎えている。養子の名は名城豊。横浜の鶴見に在住、それで渡嘉敷刑事がこっちに向かったと言うわけですね。はい、使用された拳銃の指紋に名城源治も確認出来たんですね。5人が拳銃を握っていた。ただ引鉄には一人だけですね。前科と照合したけど該当者はないと言うことですね。分かりました」  中西が復唱したのを布川がメモしている。 「はい、羽田まで迎えに行きます。ありがとうございます」  中西が電話を切る。 「名城豊?米沢の刑事が張っている。横田を案内に付けている」 「えっ」  中西が驚いた。 「名城豊は一泊二日で沖縄に里帰りしている。一人だと言っているが完全な裏は取れていない」 「根岸屋で仕入れたネタはガサではありませんでした。デニス加藤と言う武器の売人がいましたが、俺が言った時は既に撃ち殺されていました。その拳銃で元やくざの名城源治が撃たれています。名城豊が沖縄に行っている間ですね」  中西は複雑な絡みがあると読んだ。 「その売人と名城が接触した可能性は?」 「分かりません。使用された拳銃に名城の指紋があれば当たりですね」 「しかし指紋を照合するにも沖縄まで行くのに二日がかりだな。年が開ける」  布川は頭を捻る。 「恐らくですが渡嘉敷が五人の指紋を持って来るでしょう。あいつは賢いからそれぐらいはしますよ」  横田から電話が入る。
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