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「これは俺の勘です。布川さん、これから米沢に行きます」
「中西、待て、中西。切りやがった」
「どうすたっけっす?」
「中西は佐々木の娘は米沢に向かったと予想しています。その後を追うと」
「米沢さ向がったんだが」
高橋が訊き返した。布川は頷いた。
「中西はあなた方からの指示で佐々木宅の聞き込みに出た時も佐々木の行先は米沢だと確信していました。変わった男ですが勘は鋭い」
「おらもそう思うっす。明日の午後、斎藤嗣治のうずで葬儀行うど斎藤の妹がら届げがあったそうだ。米沢にいる兄ど二人で送りだぇど、うずの周りのスクラップ片付げ、中掃除すたど署さ連絡があった。恐らぐその金城、名城、小川の誰がが斎藤殺すの主犯だべ。佐々木は恐らぐ葬儀さ駆げ付げる。狙うのは葬儀の時でねだべが」
高橋が中西の勘を推した。横田が戻って報告する。
「被害者は黒木良助、45歳です。夫人が電話口に出ました。テニアン島の教え子に会いに行くと12月22日に家を出たそうです」
「教え子?するどこの三人のしぇんしぇか?」
鈴木が横田に確認した。
「はい、それとフロント係が被害者の状況を電話で知らせたのは徳田英二と名乗る男だと分かりました」
「徳田?英二?」
布川は中西の親友である探偵の徳田とは色々と経緯がありよく知っている。黒木の日記帳を開くと23日に都橋興信所に依頼とある。
「布川さんはその男をご存知ですか?」
横田が訊いた。
「ああ、中西の親友だ。変わった奴だがホシじゃない。それは私が保証する」
「あっ」
高橋が何かを想い出した。
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