都橋探偵事情『舎利』

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「おもしぇ男だな。とごろで何処までえぐんだ」 「米沢」  二人が米沢駅前で降りたのは7:25.である。 「すいませんが米沢東西署はどこだか分かりますか」  勤め人に訊ねた。 「ここからだと説明難しいですね。すいません急ぎます」  勤め人は速足で駅に急いだ。タクシーが来たので訊ねた。 「どうぞ」  ドアが開いた。 「西、遠いんじゃないか、もしかして」  渡嘉敷が予想した。 「運ちゃん、警察まで歩いたらどれくらい?」 「おめだづの足だど小一時間掛がっず。雪道さ慣れでねど転ぶす」  仕方なく二人は乗り込んだ。 「さっきのジジイ煽てて乗せてもらえばよかったな」  中西が悔やんだ。8分ほど走って到着した。 「伊勢佐木中央署から来ました中西です」 「沖縄南北署の渡嘉敷と申します」 「連絡が入っております。こちらに」  二人は『手榴弾殺人事件』捜査本部と張り出された部屋に通された。 「課長の吉川です。わざわざご足労いただきありがとうございます。高橋と鈴木鑑識課長も戻って来ます。それまでこの男が対応します」 「佐藤です。宜しくお願いします」 「早速ですが現場に案内していただけないでしょうか?」 「行ぐべ」  中西等のやる気に負けていられないと佐藤もその気になる。 「高橋班長がら目立づ行動は避げるよう指示されでっから見晴らすのいいビルの屋上がら現場案内するっす。被害者は午前中さ荼毘さ付され夕方がら被害者の兄ど妹二人で送るそうだ」  車から降りてマンションの階段を上がった。屋上に上がるにはハッチしかない。身軽な佐藤は梯子に飛び付いて一気に上った。
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