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渡嘉敷が確認した。佐藤が頷いた。最悪でも家族の犠牲だけで済まそうと考えている。ホシがとち狂って第三者を巻き添えにしては警察の面子にも関わる。中西も仕方のないリスクだと価値観で一致している。そして最大限の救える努力を惜しまない。それが使命であると自分に言い聞かせた。
「集まると予想されているのは?」
「妹、兄、それど佐々木だ。それど坊主経上げに来るっす」
中西は一人でも多くを救いたい。そのための作戦を考えた。
「敏、お前銃の腕前はどうだ?」
「署じゃいつも一番だ」
「そうか、実は俺はからっきしなんだ。武道は負けないけどな、拳銃だけは六発撃って一発掠ればいい方だ」
「それで何が言いたい?」
「足が冷たい。先ずは下に降りて長靴買おう」
三人は下に降りた。
遺骨を抱えて家に入る。
「お兄さんストーブ着けて」
斎藤洋子は焼き場から兄嗣治の遺骨を持ち帰った。部屋は昨日掃除した。
「三台あるから全部この部屋に運んで。灯油あるかしら」
洋子は物置からポリタンクを運んでストーブに給油した。
「洋子、遺影はどこに置く」
「机があるでしょ。机拭いて壁に立て掛けて」
遺骨を置いて両側に燭台を置いた。香炉に線香を立てた。一直線に揺れることなく天井に突き刺さる煙を見つめた。
「お坊さんは六時に来るから。それまで部屋を暖めておきましょう」
洋子が先導している。長男と次男嗣治はあまり交流がない。嗣治一人でテニアン島から帰還した時も冷たい態度で接した。
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