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「人質はどうします?」
中西が質問した。高橋はそう来るだろうと思っていた。
「努力して助け出す」
「どうやって?」
沈黙が続いた。
「良い策があっこんだら聞ぎだぇ」
高橋は中西に助けを求めた。
「はい、お話では斎藤の妹と兄、狙いの佐々木、そして坊主が経を上げに来る。その坊主にこの渡嘉敷が扮します」
「俺が?」
「渡嘉敷は拳銃の達人です。ホシが手榴弾を手に掴んだ時には射殺出来ます。仮に握りを放して4秒あればその隙に部屋を移動できる」
集まった全員が頷いている。渡嘉敷だけがキョトンとしている。
「横浜の伊勢佐木中央署から連絡がありました。小川誠二は八丈島に弟がいます。小川誠二は25日に出て行った切り連絡がないとのことです」
「別れを言いに寄ったんだろう。死ぬ覚悟は本物だ」
中西が小川の心の内を推察した。
「部屋は四づある。葬儀行うのは被害の少ね奥の部屋だべ。六畳間の狭え部屋だ。手榴弾投げれば壁さ当だり自滅するだげだ。壁は崩れ落ぢるが隣の部屋さ逃げれば命さ関わるごどはね。斎藤嗣治は椅子の背凭れにネクタイで縛られでだ。動げねようにすて、足元さ手榴弾転がすた。今回は三人ねす四人、佐々木だげ縛り上げるごどは不可能だ。手荒な行動さ出る恐れが高え」
鈴木鑑識課長が言った。
「手荒な行動どは何想像すてる?」
高橋が訊き返した。
「集まってる所で爆発さしぇる」
「それじゃみんな死ぬべ」
高橋が嘆いた。成す術がない。
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