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「もしもし、名城か?」
「ああどうした?」
電話の相手は名城豊、テニアンの孤児仲間である。
「驚くなよ」
「お前の声が震えているよ」
「佐々木少尉を見つけた」
「ほんとか?」
「ああ、俺のタクシーに乗った」
「間違いないのか?」
「ああ忘れるものか、左の薬指と小指が変形していた」
「それで佐々木の家は突き止めたのか?」
「いや、会社だと思う。山下町に出来たばかりの大きなビルに入った。迷わずに3階を押したから会社かもしれない」
「よし、明日俺も行ってみる。この目で確認したい」
「ああ、それがいい、それから小川に知らせよう」
二人は待ち合わせを決めた。
「ほんてんガス爆発だべか?」
米沢東西署の刑事高橋は首をひねった。一昨日の深夜に起きたガス爆発で一人の男がバラバラになり死んだ。
「ガス爆発すたのは確がだす」
相棒の佐藤刑事が肯定した。爆発のあった二階家は借家で平屋部分の台所がめちゃくちゃになっていた。
「いがす汚えなあ」
ガス爆発で散乱したのだがそれ以前に片付けがされていない。
「鑑識さん、肉片はもうねか?」
足の踏み場がない。佐藤は爪先歩きで台所を横断した。
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