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タクシーをガレージに入れた。
「あなた」
金城の妻が呼んだ。
「ただい・・・」
「金城孝さんだね、署まで付き合ってもらおう」
金城の帰宅を張り込んでいたのは布川である。
「俺が何かしたんですか?」
「私に言わせる気かね。素直に従いなさい。悪いようにはしないつもりだ」
小川の手元や足として動いていた金城である。素直に吐けばお咎めなしでもいいと布川は考えていた。手榴弾と知らずに運んでいたなら執行猶予も付くだろう。
「名城豊はどこに隠れているか教えて欲しい」
「知りません」
「知らないと言うと拘留することになる」
「本当に俺は何も知りません」
鶴屋町の駐車場で別れた切り連絡を取っていない。
「君と名城、そして小川がテニアン島の同級生だと言うことは割れている。臨時教師の黒木さんの手帳で明らかだ」
「黒木先生はどこにいるんです」
金城は黒木の死を知らない。
「知らなかったのかね、昨年30日の夜、君の友達である小川に絞殺されたよ」
「まさか」
金城は首を項垂れた。
「君にアリバイがあるのは分かっている。横浜西口で張り込んでいた。ずっと君のタクシーをマークしていたからね。順番待ち前に飛び乗った男がいるね、誰だ?」
布川は金城の口から名城と聞きたい。とぼけるならば署に連行する。
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