都橋探偵事情『舎利』

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〔衛兵から要件は聞いた、米沢でうちのレモンが使用された事件も確認している〕 〔ありがとうございます。直接事件と関係なくても構いません、火器に関連した些細なお話しがあれば教えて下さい〕  中西は相槌を打っている。 〔彼は理解しているのか?〕  大尉がまたウインクした。中西は二度目に驚いた。 「おい横田、大尉はこっちか?」  頬に手の甲を当てた。 「もし俺を誘っているならお門違いとそう言ってやれ、ザキの若い子紹介してやると。ヤングボーイ、アレでかい、ビッグむすこ」 〔ムスコ?〕 「イェス、むすこ、でかい、ビッグむすこ、アンダスタンド」  中西はジェスチャーで股間を両手でせり上げた。 「西さん、僕が変わります」  横田は恥ずかしくて中西を止めた。大尉は首を傾げている。 〔彼から話を聞いてくれ〕  大尉は若い兵隊と交代して部屋を出た。ドアを閉める時に中西と視線が合った。中西が立ち上がりウインクした。大尉は軽く手を上げた。横田は若い兵隊から面白い話を聞いた。 「あの野郎なんだって?」  二人は山下公園を歩いていた。 「はい、ベトナム帰りの兵隊が隠し持ち帰った小型の火器を沖縄で売り飛ばす事例があるようです」 「そりゃ物騒だな、だけど伝手がなけらゃ売り手も買い手もないだろ」 「ブローカがいるらしいです」 「やくざか?」 「最終的には暴力団に渡るとみられます。過去にも本土の暴力団と何度も抗争がありましたよね、手榴弾を扱っています」  中西も詳しく知っている。  
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