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「伯父さん元気でね」
「ぃやーんちくんでぃやー。苦しかったらいちやてぃんくまんかいむどぅれー。くまーぃやーぬやーやくとぅやー」
苦しければいつでも歓迎だと伯父が言った。17でこの家を出る時は二度と戻るなと檄を飛ばした。伯母が死に、加齢が弱気にさせている。名城はもし復讐を果たしたなら戻ることを考えた。戻って両親の代わりに育ててくれた伯父の面倒を生涯看てやろうと誓った。
「どうだった?」
車の中で待機していた小川が戻った名城に訊いた。
「無かった」
「無かった?」
「本土やくざ相手に使ったらしい。もう10年も前の話だ。それで代わりにこれをくれた」
拳銃を出した。
「お前、伯父さんに何て話した?」
「伯父さんは嘘吐きが嫌いだ。前に貰った手榴弾は失くしたと嘘を吐いたがバレなかった。でも今回の使用目的はちゃんと説明したら分かってくれた。那覇の桜坂のバーに伯父さんの元若い衆がいてその人に聞いてみろって教えてくれた」
小川は名城が事情を打ち明けたことがショックだった。
「伯父さんは幾つだ?」
「今年78になる」
「元気か?」
「ああ、酒の飲過ぎで肝臓が悪いのは昔からだ」
「名城、それ貸せ」
「何をするんだ?」
「いいから貸せ」
名城から拳銃を奪い取った。
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