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「そこで伯父さんが天国へ行くよう祈ってろ」
「小川まさか」
小川は車を降りて家に入る。
「今晩は」
伯父が出て来た。
「名城君の同級生です」
眉間を撃ち抜いた。伯父は崩れ落ちた。伯父にシーツを被せて押し入れに入れた。
「小川」
名城が泣いていた。
「安心しろ、伯父さんは天国に行く」
名城が震えている。『伯父さん、伯父さん』と手を合わせて泣き続けている。小川は名城を助手席に追いやった。
「何時まで泣いてんだ。伯父さんは名の知れたやくざだろ、喜寿まで生きれば大往生だ。テニアンの洞穴を想い出せ」
名城は外を見ている。
「桜坂のバーチャーミーだな」
名城が頷いた。
「山城と言う男だ」
「お前は会ったことがあるのか?」
「ない」
「そうか、計画のことは絶対に喋るな、ガキじゃねえんだからそれぐらい分かるだろ。実行犯は俺だ。お前等は関係ない。家族に迷惑掛けたくない。俺がパクられたら遠慮なく俺を売れ。いいな」
一時間ほど走り那覇に到着した。土地勘の有る名城が案内する。昔のように賑やかではない。伯父達が若い頃は那覇一の歓楽街だったが沖縄やくざの衰退と共に桜坂も隆盛を失っていた。
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