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「悪い、役に立てなくて」
「充分助かっている。気にするな」
松山に到着した。58号線を松山で左折して路地二本目の角にクラブ『沖縄』があった。
「客は米兵専門らしい」
「俺はアメリカ人に見えないか?」
小川がジョークを言った。名城は心強かった。こんな場面で余裕を見せる小川が頼もしい。
「どう見ても謎の中国人だよ」
ジャンパーを着て拳銃をベルトに差した。
「もし、2時間で戻らなかったらお前は車を帰してどこかに泊れ。そして気にせず飛行機に乗るんだ」
「小川」
小川はクラブ『沖縄』の外周を一周した。初対面のチンピラに武器を売るブローカーなどいない。門前払いか逆に警察を呼ばれるだろう。小川は覚悟した。計画を正直明かす。そして自分が死ぬことで口を割る心配がないと保証する。デニス加藤、どんな男か皆目見当も付かない。
「オーナーのデニス加藤さんはいますか?」
小川は蝶ネクタイのホストに訊ねた。
「どちら様でしょうか?オーナーはお客様と談話中ですが」
ハーフのホストは小川を見つめた。
「どうしてもお話ししたいことがあります。取り次いでもらえないでしょうか?」
小川の気迫は信用出来る。
「それ何?」
拳銃を差したところが膨らんでいる。小川は拳銃を抜いてホストに差し出した。
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