都橋探偵事情『舎利』

91/191
前へ
/191ページ
次へ
「手榴弾殺人事件の関係者とみられる男が判明しました。横浜市鶴見区仲通り3-8GNマンション203号。名城豊37歳、男。右の者米沢にてレンタカーを借りて被害者宅に行った形跡がある。二名にて横浜に出向するのでご協力願います。伝えたい内容はそんなとこです。後は時候の挨拶みたいなもんです」 「凄いなやっぱり大学出だな」  中西が妙に感心している。ただ単に目がいいかどうか、じっくりと解読する根気があるかどうかだけである。横田は照れ笑いをした。 「何時に出たんだ?」 「あっちを昼に出たとして鶴見だと20:00を回るでしょう」 「大変だな奴等も」  課長が他人事のように言った。 「よし、沖縄行きましょう」  中西が立ち上がり言った。 「沖縄ってお前」  課長が驚いた。 「課長、行かせてやりましょう。米沢も横浜まで捜査に来ます。我等が沖縄に飛べば一度に二つが解明出来ます。相手は手榴弾です、一刻の猶予もありません。行かせてやって下さい」  布川が後押しした。 「一人だぞ、いいか?」 「沖縄で道案内が欲しい」 「よし、連絡する。いつ行く」 「これから行きます」 「支度はいいのか?」 「課長と布川さん、ありったけの金をください」  二人は渋々出した。 「領収書持って来いよ」  中西はソフトを持ち上げて署を出て行った。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加