都橋探偵事情『舎利』

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「女房子供がいる、ここじゃ話せない、お前んちに迎えに行く」 「小川から電話があるかもしれない」 「その小川のことで大事な話があるんだ」  金城は家を出た。 「旦那、お出かけですよ」 「ああ、お願いします」  夕方からずっと鶴見駅で金城の個人タクシーを張っていた。昨夜の会話で金城と小川の関係は蜜であろうと徳田は読んだ。金城の自宅も掴んだ。メータを倒したままと言うことは私用である。名城の家は仲通りである。名城の自宅マンションの前で停まった。 「客かな、迎えに来たのかな?」 「違いますね、メーター上げてない」  追跡する。五分ほど走り運河の公園で停車した。 「旦那どうします?近過ぎると感付かれますよ」 「ここで待機しましょう」  徳田は金城から顔が割れている。ここは辛抱強く待機を決め込んだ。 「何だ、大変なことって?」  金城は深呼吸をしている。 「小川を探している探偵がいる」 「探偵?」 「ああ、昨日俺の車に乗った」 「どうしてお前のことが分かったんだ?」 「佐々木貿易を探りに行ったんだ。そしたら店を閉めていた。俺は固まってしまいじっと閉店の案内を見ていた。それを探偵に目撃されて尾行された」 「余計なことをするからだ。小川に言われたろ、勝手に動くなと」 「ああ、どうしよう?」  金城が情けない声を上げた。
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