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「その探偵はどこまで知ってるんだ?」
「詳しくは分からない。でも誰かに頼まれて小川を捜しているのは間違いない。俺が訊いたら秘密だと言った」
「そんなことを聞いたのか?」
「まずかったか?」
「関係を認めるようなもんじゃないか」
「小川に知られたら怒るな。名城、内緒にしてくれ」
金城が手を合わせた。
「どこの探偵だ?」
金城が徳田の名刺を出した。
「名刺交換までしたのか?」
「違う、俺は渡していない」
「探偵はどうして佐々木に辿り着いたんだろう?」
「もしかしたら米沢の事件から突き止めたのかもしれない。小川を捜す過程で佐々木を訪ねたと言ってた」
「小川を捜す奴は誰だろう」
二人は心当たりを考えた。
「八丈島の弟じゃないか?」
「違う、たった一人の親族だ、小川はまめに連絡している」
「俺達側の人間かそれとも」
「それはないだろう」
「それじゃ敵か、佐々木達の仲間か?」
「それなら警察に行かないか?」
「俺達の行動を止めようとしている。それも穏便に」
「まさか」
「黒木先生か?」
「黒木先生は軍の仕打ちを過ちであると指摘していた。だけど暴力で返しては同類だとして俺達の計画には参加しなかった」
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