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「黒木先生の連絡先は分かるか」
「沖縄で教師をしている与那嶺玲子なら知っていると思う。聞いてみる」
「こっちにも大変なことが起きた」
金城が顔を顰めた。
「お前には話しておく」
「聞かない方がいい」
「いや駄目だ、話す。小川が俺の伯父を撃ち殺した」
「ええっ」
金城はやっぱり聞かない方がよかったと悔んだ。
「俺は手榴弾を使用する目的を伯父に正直に話してしまったんだ。小川は俺達に捜査が及ぶのを心配していた。万が一の時は知らぬ存ぜぬを決め込んで小川一人のせいにするように言われた」
「だけど殺さなくてもよかったのに」
「あいつは一人で死ぬつもりだよ。だから俺達に実行はさせないんだ。俺達と家族を護るために」
「そろそろ帰るか、小川から電話があるかもしれない」
発車した。
「旦那、動きました」
「客人が降りたら私もそこで降ろしてください」
徳田は名城を張ることにした。名城は仲通り商店街で下車した。
「ありがとう、これ少ないけど」
運賃の他に三千円を渡した。
「毎度あり、旦那またよろしく」
馴染みの運転手は笑顔で走り去った。名城は居酒屋に入った。徳田は通りで一本吸って暖簾を潜る。壁に沖縄料理のメニューが並んでいる。
「泡盛、それとラフテー」
「泡盛はどれがいいでしょうか?」
「度数の低いのがいい」
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