恋愛相談室が出来るまで

12/14
37人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
アンラッキーデーの数日後。 生徒会室に行こうとして、中庭を歩いてたら見覚えのある紺色で伸びた後ろ髪を三つ編みにしてる子がベンチに座ってるのが見えた。 「おーい、晃也くん?」 「ふ、副会長?!」 「うん、九条副会長だよ~」 ヒラヒラ~と手を振るとサッと立ち上がって犬みたいに寄ってきた。なんだこの子可愛いな。 「まさか、お会い出来ると思ってなくて、でもいつもジャージ持ち歩いててよかったです!!お世話になりました!」 あ、ジャージか!こんなに丁寧に多分洗濯までしてくれたんだろうな。別に気にしないのに。 「ジャージありがとう。てか、こんな所でどうしたの?あまりここ人来ないと思うけど…」 「え、あぁ。ちょっと…1人になりたくて」 「もしかして邪魔しちゃった?」 「いえ!!滅相もないですっ!」 「あぁそう??もし、悩みとかあるなら聞くよ?一般生徒の悩みも聞くのも生徒会の役割だしね」 晃也くんたら、ほんとにいいんですか?みたいな顔をしている。なんて、顔に出やすんでしょう。そんだけ素直なんだろうな…。ふふ。 「勿論。ここでも良いし、生徒会室ならお茶も出せると思うけど…」 「やっ!ここでいいです!ここがいいです...」 そうだよね。この時間だと他の皆がいるかもしれないし、逆に緊張しちゃうか。 「うんわかった。ベンチに座ろうか」 ベンチに座ったら晃也くんは、最初はモジモジしていたが、2.3分後意を決したように話し出した。 「実は…好きな人がいるんです…」 !恋愛相談!!!え、めちゃくちゃ気になる。僕も好きな人いるんだ!これは恋バナのチャンスでは?? 「でも、最近とても冷たくて。同じクラスなんですけど、教室で声掛けても返事してくれなくて。少しでもその人の瞳に写りたくて毎日話しかけたり、お昼も誘ったりしてるんですけど、無視ばっかされて。前は話しかけたら…返事してくれたのにと思って悲しくて辛いなと…。それに今日は、[もう、話しかけてくんな ]てその子に言われてしまって」 なんて、健気ないい子なの!?!この子!! しかも好きな子から話しかけてくんな…?!辛いそんなの辛すぎる。慎琴に言われたら無理死んじゃう。 「晃也くん…。それは辛いね。僕も好きな人いるから、好きな人に拒絶されると辛いよね…」 「ふ、副会長、ス、好きな人いるんですか!?」 「し、しー!2人だけの秘密にして!ね?」 晃也くんの声が大きかったので慌てて口を手で塞いだら、もごもごと言いながら首が取れそうなほど頷いていた。 「で、その好きな人、A君にしよう!A君はどんなタイプなの?クール系?一匹狼系?ツンデレ系?」 「そうですね、一言で言うと一匹狼系のヤンキーです」 一匹狼系ヤンキー!や、やるな、晃也くん。ゴクリ。 「な、馴れ初め…聞いても??」 「え、あっ。エット…。僕ヤンキーとか苦手で、A君とは最初は隣の席だったんですけど、消しゴムがA君の足元に落ちて、怖い…。とって欲しいなんて言えないし、この世の終わりくらい動揺してたら、A君がんって消しゴム取ってくれたんです。それが話すきっかけで、その後、教科書忘れたから見せてほしいとか、色々話すきっかけがあって。A君色々よくない噂もあったけど、僕と話してる時は優しい人だなって思ってたら段々とA君に惹かれてる事に気づいたんです」 は~!!なんていい話なの!ヤンキーくんも絶対晃也君のこと大事に思ってるよ。いいよ!このままいっちゃえ! 「A君の事好きだって気づいた次の日から毎日話しかけるようにしたんです。そして、A君もちゃんと返事してくれてたんですけど、ある日A君と敵対?犬猿の仲?のヤンキー達が僕の事囲んできたんです。そして、殴られて連れ去られそうになった時にA君が助けてくれたんです。更に好き…と思ったんですけど。[もう、俺に関わるな ]て言われて…。その後に席替えになってA君と離れてでも、毎日話しかけても無視されてしまって」 なるほど、これはあれだな…。乙女ゲームで履修したぞ。お前の事が大事だけど、俺の傍にいると危険な目に合わせてしまうから、俺と関わるな!でやつだな。 「で、また同じヤンキーたちに副会長と出会った時に絡まれててパシリされてたんです」 だから大人数のお冷を持ってたのね。え、もしかして僕とぶつかった元凶てヤンキー??え?アンラッキーデーの原因はヤンキー達って事?ぶっ潰そ。 「そのヤンキー達ぶっ潰そ?」 「えっ!?」 「じゃなかった。後でそいつらの特徴教えてね」 「あ、はい」 「悩みはだいたい分かったよ。うーんそうだね。ヤンキー達をぶっ潰した方が早そうだけど…。晃也くんまずは、A君とちょっと距離置いてみたら?毎日話しかけるの4日から1週間くらい控えてみるの」 「え……!なんでですかそんなに長くも?」 「碧月さんが思うに、毎日アピールし過ぎなのもあると思います。ちょっと距離を置くの。でも、ヤンキー達には絡まれてるから、距離置きすぎると、晃也くんが、危険ね。もし、万が一危険を感じたら僕がA君を絶対呼ぶように!その後、距離を置いても君の問題に僕も関わってるの!だから、突き放さないで!って素直にA君に言って見るの。どう…かな?」 「な、なるほど。押してダメなら引いてみろってやつですか?」 「そうとも言う」 「このままじゃ、辛いだけだったので、僕やってみます!副会長ありがとうございます!!」 「いいのよ。まず連絡先交換しよ」 スマホを出して某SNSを開きQRコードを読み取る。 「副会長の連絡先…!」 嬉しそうにしてたので「同い年なんだからタメ口でいいよー」と言ったら顔を真っ青にして横に振るもんだから、面白くて笑ってしまった。その後「ありがとうございましたー!」といい、去って行った。 晃也くん上手く行けばいいな。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!