ファイルNO.1:斗坂 菜央

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ファイルNO.1:斗坂 菜央

放課後の図書館で先輩とこうやって時間を過ごすのが好き。窓から入る風になびく茶色の先輩のサラサラした髪。時折、下がってくるメガネを直す仕草も好き。 先輩は参考書に囲まれながら机に向かって勉強している。俺はそれを隣に座って本を読むふりをしながら先輩を眺める時間が1番満たされる。先輩の事…一生眺めていられる。この時間一生続けばいいのに…嗚呼好きだなぁ。本から、目だけ覗かせて、キラキラ陽射しを浴びてる先輩を眺める。 「先輩…コト好きだなぁ」 「え…?」 「エ…」 エ??え??声に出てた!?!?先輩が顔を上げてこっち向いてる!?やばい声に出てた!!!絶対そうに決まっている。やばい恥ずかしい。しかも俺は好きだけど先輩からしたら、俺はただのちょっと気にかけてる後輩でしかないのに、こんな事言われたら気持ち悪いよな…ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙どうしようどうしよう…! もう、この空間に居られない逃げようっ。慌て過ぎて、椅子と机をガタガタ言わせながら立ち上がってしまった。 「す、すみませんっ。失礼しますっ!」 先輩の顔を見るのが怖くて、俺は今まで廊下も図書館も走ったことなかったのに全速力で駆け出した。 ××× 夢中で走っていたら、特別棟の階段まで来てしまった。 はぁ、はぁ、クソ…。先輩に知られてしまった。一生伝えるつもりなかったのに。 手すりを握りながらズリズリと階段の一番下の段に膝を抱えてしゃがみこんだ。 「明日からどうやって接すればいいんだ…」 「もうやだ、泣きそう…世界滅べばいいのに」 「菜央ったら、物騒」 「!?!」 バッと、顔を上げると碧月さんが居た。 誰もいなかったはずなのに、いきなりこれをかけられてびっくりした。 「碧月…さ…副会長」 碧月さんはニコッと笑って、隣に座ってきた。この人、ここの棟にある生徒会室に行く途中だったんじゃないのか? 「呼び方さ、碧月か副会長どっちかにしない?」 「えっ」 「だって長いじゃん。それと物騒なこと言ってたけど…何かあったの?」 碧月さんって心の中では読んでるけど、本人に言うのはちょっと勇気がいるし副会長って呼ぼう。 「じゃあ…副会長」 「なんでよ!そこは碧月さんでしょ!菜央ったらもう、恥ずかしがり屋さんなんだから」 そう言って碧月さんは、頭撫でてくる。この人に撫でられるのも好き。優しい。でも1番は、先輩の大きな手が好きだなぁ 先輩……。 「はぁ…」 「な、なんのため息?!僕にしたのっ?」 そういえば、碧月さん恋愛相談室開くってこの前生徒会室で言ってたよな。 顔を見られるの恥ずかしいから、膝を抱えて、顔を埋めながら 「碧月さん…。れ、恋愛相談のってくれますか」 碧月さんを盗み見れば、目をぱちぱちとさせて一瞬驚いていたが瞬時に笑顔で 「勿論!可愛い可愛い後輩の菜央の相談だからねっ」
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