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「んま〜!ジャンクフード最高」
「碧月さん。なんで…俺らこんなとこ、いるん…すか」
僕らは学校から飛び出し、街に降りてきた。最終便のバスにのりながら。なので帰りは歩いてかなければ…な!タクシー捕まえれたらタクシーでもいいんだけど。
今のいる場所は、ハンバーガー店のイートインコーナーだ。学校のショッピングモールにもハンバーガー店あるけど、別の企業のハンバーガーも食べたいじゃんね。
「どうしようも無くなった時は逃避行するのが1番!なので、今は菜央とデート中」
「これ…デートだったん…すか」
ハンバーガーを食べながら頷く。
「会長に…怒られませんか…ね」
「なんで慎琴?菜央だし大丈夫でしょ?しかし、慎琴と言えば中学時代に妃良も引き連れてここに食べに来たなぁ。2年ぶりか、懐かしい」
「え。会長達とも…来たんですか?」
「うん。アイツらが受験の時進路で迷ってた時に…今みたいに逃避行したんだ」
菜央は聞いたくせに「ふーん」ていう感じに相槌を打ち小さい口でハンバーガーにかぶりついた。僕は「うまっ…」て呟いた菜央の言葉を聞き逃さなかったぜ!
やっぱここのハンバーガー美味いよな〜、潰れてなくてよかった!
てか、周りからの視線が強いな。山奥の有名私立高校だとそうもなるか…?目の前にいる菜央も美形だから、それもあるな。うちの生徒会メンバーは顔がいいのよ、ふふん。全人類よこの素晴らしき顔面を見よ!
菜央も周りの視線気にしてるみたいだし、早めに食べて出るか。
店のドアから通りに出て、人並みに紛れながら歩きだした。
「菜央、ちょっと店の中視線が痛かったね」
「えぇ。碧月さんが…美人なので、しょうがない…とは、思いますケド」
「え?ナンテ?そこは菜央でしょ。まぁそれより、手だして」
なんで手?と不思議そうな顔をしながら菜央は手を出した。
僕はその手を自分の手で上から握り、手を引きながら歩いた。菜央が離そうとしたが、ギュッと力を入れて抑え込む。
「菜央とはぐれないように。僕方向音痴だから、菜央とはぐれたら僕、帰れないからね」
菜央は、恥ずかしいのかムッとした顔をしながら赤くなっていた。可愛いなぁ。
「あとね、デザートにココのフラペチーノとケーキ食べたい」
とスマホ見せながら伝えると「はぁ…分かりました」と観念したようで菜央が連れてってくれるみたいで、先に歩き出した。
方向音痴は、菜央が手を離さないようについ出てしまった嘘なんだが…本気と捉えられちゃった?
10分ぐらい歩いたら僕の行きたいお店に着いた。スラスラと歩いて連れてきて貰ったけど、菜央って結構街に降りて来てるんだろうか?僕は逃避行でしか街に降りてこないのに…。
今、注文の待ち時間だし聞いてみるか。
「菜央って、よく街に来るの?」
「……。」
もしかして、聞いて欲しくなった話題か!?
「昔…中等部の時、よく…来てたんで。最近は全く…ですが」
は!僕達が出会った闇の中等部時代だな。
あの時、慎琴が菜央を連れてきて、「この子の面倒見てくれないか?」と言われたんだよね。その時の菜央は今まで以上に棘まみれ人嫌いだったな。何故か怪我ばかりしてたし。本当に昔人間に酷いことをされた懐かない野良猫のようだった。
詳しくは知らないけど、家庭事情と反抗期がMIXされて荒れてたらしい。慎琴がそこら辺の事情詳しく話してくれなかったし、まぁそこは菜央の個人情報だし。詳しくは本人が話してくれるまで触れないつもりでいたから、いいんだけどさ。
「な、菜央…?ゴメンこの話嫌だった?」
「別に… 」
「次の方ご注文どうぞ〜」
菜央が何か言いかけてなのに、注文の番がきてしまった!タイミング悪さめ!
「菜央は…カフェラテで良かったの?」
「はい」
僕は期間限定のフラペチーノ+ケーキ食べれるのに…なんか申し訳ないな。ケーキ1口食べさせるか。
「はい、1口あげる!美味しいから食べて」
フォークで口の前に差し出すと、菜央は目を見開いて、びっくりした顔をした。
なんでよ!早く口開けてよ。
「菜央〜早く。フォークから落ちちゃう」
おずおずと口を開いたので一瞬で口の中にフォークをねじ込んだ。
「どう……?美味しいでしょ」
目を伏せて、口を抑えながら「美味しい…です」て答えた。
おぉ!その言葉が聞けて満足!
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