ファイルNO.1:斗坂 菜央

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なんだかんだウロウロしていたら、21時か。あれ、スマホに着信履歴の通知が…。 「ごめん、菜央ちょっと電話してくる」 菜央に一言伝えて、スマホをもって店の外に出た。 誰からだろうと思ってみると、妃良からだった。コールボタンを押して電話をかける。あ、出た 「もしもし、妃良〜?どうしt」 〚どうしたじゃないでしょう!逃避行するってなんですか!菜央も今日来ていないし!〛 うわ、うるせ…。人混みだからって、スピーカーにするんじゃなかった。 「だから、菜央と逃避行してるんだってば…!僕が連れ出したから、菜央は悪くないよ」 〚また、貴方はそう勝手に人を連れ出して…!はぁ。菜央と一緒に居るんですね。そう、慎琴にも伝えておきます。心配した身にもなってくださいよ…〛 「うん、よろしく〜。心配ありがと」 〚で、今から帰ってくるんですよね?〛 「えぇート、それは菜央次第かな〜?別にこっちで泊まってもいいと思ってるし」 〚貴方たち制服でしょう!帰ってきてくださいね!?明日も授業あるんですよ!〛 そういえば制服だったなぁ。一般の観光かビジネスホテルだと難しいか、ラブホなら入れてくれるんじゃ…? 「ラブホなら入れるんじゃない…?」 「ナ、ナ、ナ、何言ってるんですか〜〜!私は慎琴に怒られても知りませんからね!!!!碧月の助平の馬鹿野郎!」 ブチッ 妃良にブチ切りされた。ただ、ラブホって言っただけなのにすけべの馬鹿野郎はないだろ…。 ま、菜央の所に戻って、帰るかこのまま残るか聞くか。 「菜央〜おたませ…」 と声をかけながら席に戻ると、菜央がヤンキーに絡まれとるっ!こ、これは僕が助けなきゃ…! 「おぉ〜!美人やん、この子もナオチャンの連れ?」 ギャー僕も絡まれたー! 菜央を囲ってる3人のヤンキーの1人が僕に気づき近づいてきた。サングラスしてるから表情読めんし、若干怖いな。 肩組むな…重いし。 「碧月さんに…手を出すな」 「ナオチャンやっと喋ってくれたなぁ〜!」 サングラス男が菜央に近づくから、肩組まれてる僕も強制的に引っ張られる。力つよ。 「なぁなぁ、もう前みたいに、一緒に遊ばへんの?俺らナオチャンが居なくて、えらい寂しい想いしてんで?」 「お前らと今後一切…関わらないっ…て、決めてる」 するとサングラス男は座っていた菜央の胸ぐらをつかんで、立ち上がらせた。 「そんな、寂しぃー事ゆうなや」 こ、コレは喧嘩モード突入で、では?!?菜央を助けなきゃ。 思わず肩を組まれていた腕を持ちながら懐に入り菜央と反対側に体当たりをして、そいつのバランスを崩した。その一瞬、菜央と胸ぐらを離したすきに、菜央引っ張り店の出口に向かって逃げた。 人混みに紛れながら逃げていたら、随分と人が少ない道にまで来てしまった。ここどこだ…。 「あっ、碧月さっ……。はぁ…はぁ」 「わぁ!ごめん!ずっと走りっぱなしだったよね」 「いえ…、助けて、くれて……ありがとう、ございます」 「菜央のピンチは助けなきゃな!それより、なんかこんなことになってごめん。先輩の事、今日は考えないようにさせようと思って気晴らしに街に降りてきたのに…」 「だろうな…と思い、ました。碧月さんと、で、デート…楽しかったっです」 そう言って手をぎゅっと握りしめてきた。 何この可愛い生き物…! 「もう、嬉しい事言ってくれちゃって〜」 と、前から抱きしめた。菜央は僕より背が高いので菜央の肩の上に僕の顔をのせる感じになった。フィット感が良い。 「碧月さん…、俺の話…聞きたい、ですか」 さっきのヤンキー達も関わってるんだろうなぁ…。 抱きしめる体制を辞め、菜央の顔を両手で包んで下から覗いた。 「菜央が話してくれるなら聞きたいな」 菜央は「分かりました」と言い、5分くらい人気のない道路を歩き、寂れた公園まで連れてかれた。
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