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side 碧月
「そして、フジさんの所に二ヶ月くらい週末にお邪魔して、お世話になってたんです。その時にピアスも開けてもらいました」
そうだったんだ…!菜央、僕と出会った時も既にピアスしてたもんね。耳たぶ両方と、耳の上の方の…名称なんだっけ。えーと、へ、ヘリックス!そう!ヘリックス右だけ空いてる。
「2ヶ月の間に離婚騒動も、父親が…俺を引き取る形で無事…に収まりました。それを裏で手を回していたのが…会長で、会長が理事長に…俺を生徒会に入れるよう、推薦していたらしいん…です。当時は…補佐でしたが、正式に生徒会に入る事が決まったら、理事長がわざわざ…父親に電話したらしく……、手のひら返したようにこれからも頑張れ。高等部でも生徒会に入れよ、流石菜央だ、俺が引き取る。ですよ。笑っちゃいますよね…」
わぁ。手のひらクルー凄まじい。慎琴がそんな事していたなんて。
「あとは、碧月さんも…知っている通り…」
そう、慎琴につられて生徒会室にきた菜央を、「碧月、この子は斗坂 菜央学年は一個下の2年生だ。今は補佐だから、そのうち正式加入して、書記か庶務につかせるつもりだ。世話頼んだ」
といい、先生に呼ばれてるからまた後でと菜央を置いて去っていった。
初対面しかも後輩、世話よろしくで済むわけないだろ!説明しろ!とは思ったね。
あの頃の菜央は全然学校の人と話さなくって、僕が一方的に喋ってたな…。
しかも、すぐサボろうとするから、毎回2年の教室に授業後に行って、菜央を出待ちして生徒会室に連行していた。
そのうち、2年生の菜央の同じクラスの子達も協力する様になってくれて、捕まえ安くなったし、菜央も少しずつクラスの人と一言二言だったけど話せるようになっていたのを僕は知ってる。最初は迷惑かなと思ったけど結果オーライだよね!
その後も何かと人を巻き込んで菜央の事を構い倒してたら、心を開いてくれた時はとても嬉しかったなぁ。確か文化祭で設置途中のテントが強風で倒れそうな時に菜央を庇って下敷きになった時だっけ。目の前で菜央がボロボロ泣き出すから、僕の方がびっくりしちゃったやつ。
「懐かしいな。ゆーて、2年前か。あんなにツンツントゲトゲしていた菜央さんがこんなに素直な子に成長してくれて碧月さんは嬉しいですよ」
そう言って、菜央の頭を撫でた。
「碧月さんの…おかげですよ」
いつもクラスメイトや他人には無表情だけど、生徒会にいる時はよく笑うようになったな、と思う。
そうだ、まだ恋愛相談の話アドバイス全然出来てなかったな。相手が藤原先輩なら、僕からみてとても脈アリだと思うんだけどな。よく、菜央の様子聞かれるし。図書室行ったら2人でいる所見かけるし、菜央が寝落ちしてる時にお邪魔しちゃった事あるけど愛おしそうに頭撫でてるの見た事あるもん。
でも、菜央の話聞いてる限りフジさんにも恋してるような感じに聞こえる…。いや、フジさんは初恋だった…て感じか!
うむ、菜央くん青春してるね。いいじゃないっ!苦い初恋を経験してるなら、今度は絶対成功させないといけない!これは、先輩から1つアドバイスをあげなくては!
「菜央」
「はい?」
「藤原先輩の話だけど、ちゃんと話し合いな?話し合いで平和になるのよ!言い逃げは余計拗らせるの」
そう、乙女ゲームも話し合いがあれば生まれなかった憎悪や失恋、拗らせたヤツも生まれなかった…!顔と顔を合わせての話し合いは本当に大事!
「えっ」
「怖かったら一緒に着いてくし、ずっと隣で手握っててあげる。僕は君の恋、本当に1番応援してるし、必ず上手くいくって信じてる。藤原先輩になら菜央を任せられる。菜央には幸せになって欲しい」
ね?と笑いかけながら菜央の手を握る。
菜央は数秒固まっていたが。手を握り返してくれた。
「俺…碧月さんの笑顔に…こんなに弱いなんて、思ってなかった…です。碧月さんに言われたら…なんか、凄い…力が湧いてくるんです…よ」
と困ったように笑っていた。
「先輩の所行く時は、ずっと…手握ってて下さいね」
なんて言うもんだから。可愛いなぁと奈央の頭をわしゃわしゃと撫で回した。
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