ファイルNO.1:斗坂 菜央

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フジさんの家は前と変わっておらず、あの高級マンションだった。 僕は久しぶりにこの人の家に来るので少し緊張していた。そもそも人の家に入る事自体、滅多にないし。寮の部屋も生徒会に入ってから1人だし。たまに友人の部屋には入るけど…。 「お邪魔します…」 と言い、部屋に上がり奥に進む。前にいた、フジさんは「ん」と言うだけの返事が帰ってきた。何しても様になるな。 上着と荷物を下ろし、汗ばんだ手が気になり洗面所かりて手を洗いにいく。 洗面所にきてふと、フジさんは彼女とか居るんだろうか、もし居たらココに連れ込んでるのかなとか思ってしまった。 思ってしまったらそれが気になり、歯ブラシの個数とか、洗顔や化粧水に女ものが無いかとか…チェックしてしまう。1人用しか無かったよ。普段連れ込んでないみたい? 別に僕、フジさんとなんの関係でもないのに。めんどくさい彼女面してしまった自分に自己嫌悪する。 何やってんだ、ほんと。フジさんは魅力的だから彼女の1人や2人…。いや、フジさんは二股とかかける人じゃないと信じてるから2人はいないか。 僕に関係ないと分かっててもなんか胸が痛い。やっぱり憧れの人だからなのだろうか。フジさんと仲いい慎琴先輩に対しては何も思わないのに、スズキのフジさんへの好意はめちゃくちゃ嫌な気分になる、嫉妬…に近い感情が浮かんでしまう。なんでた?これじゃまるで… 「まるで、僕。フジさんの事も好きみたいじゃん…」 鏡越しに自分を見ると、自覚したからか一気に体温が上昇し、真っ赤になったことが視覚からも分かった。 まっ……。僕、フジさんの事がすき…?藤原先輩も好きなのに…? 「二股……」 いや、付き合ってもないから二股とかでは無いっ!二股ではないけど、好きな人が2人って事?2人とも…好きだ、1人かなんて選べない。 それって… 最低な人間では? 上がった体温が一気にさめるのを感じる。 鏡をみると真っ青な顔をした僕が立っていた。
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