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「そういう澪こそ。どうなった?杉崎とは。相手との別れ話、立ち会ったんでしょ?」
「あぁ~。うん。あたしも杉崎とはどうにもならないまま終わった・・・かな」
「えっ?相手との別れ話だったんでしょ?澪も終わらせないように頑張るって言ってたじゃん」
「うん。頑張ろうと思ったんだけどね。気持ち伝える前に後悔されたっていうか・・・」
「後悔ってどういうこと?」
「あたし的にはさ。それでも頑張ったんだよ。直接じゃないけど、ちゃんとあたしが思ってることごまかさずにちゃんと伝えたし。あたしにとって杉崎はどんな存在かって、杉崎にも相手にも伝えたつもりだった」
「うん。それで?」
「相手はね、それで多分納得してくれたんだけど。杉崎もそれっぽい感じの言葉や雰囲気出して演技してたし」
「うん」
「その流れでね。杉崎が、その・・キス、してきて・・・」
「えっ!?マジで!?」
「いや!それももちろん演技だよ!相手に付き合ってるって思わせて諦めさせる為の演技なんだけど・・・。あたし的にはちょっとビックリしたっていうか・・・・」
「そりゃビックリするでしょ。あの杉崎とだもん」
「演技でもまさかそんな流れになるなんて思わなくて・・・。正直なんでそんなことになったのかもわかんないし・・・。でも、相手の人にいろいろ責められて、ちょっと戸惑っちゃった時があって・・・。あたしその時、杉崎への気持ち隠せてなかった気がするんだよね・・・」
「それで杉崎がしたってこと・・?」
「多分・・・。あたしが戸惑って杉崎と付き合ってないってことバレたら困るからだと思う。咄嗟にそのパフォーマンスして、杉崎がそのあとすぐフォローしてたから・・・」
きっとあのままでいたら、すぐにあたしが嘘ついてることが冴木部長にバレてたはず。
もっと深く追及されていたら、きっとあたしはもう自分の気持ちも嘘の役割もごまかせなかったと思うから。
だから、そんなあたしの表情を見せたくなくて、嘘だとバレたくなくて、きっと杉崎は見かねて空気を変えて、そんなあたしを見せなくさせたんだと思う・・・。
だけど、一瞬、あの優しい笑顔が演技じゃなかった気がして・・・。
あの瞬間、なぜかホントに勘違いしそうになったから。
だから、あたしは・・・。
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