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「だから一ノ瀬見てたらね、つい奥さんのこと思い出しちゃって」
「愛妻家ですね。いつもお昼も奥様のお弁当ですもんね」
「まぁね。奥さん料理も得意だからね。食べることへの興味がすごいから、常にいろいろ研究して家でも作ってるみたいだよ」
「へぇ~ますます素敵。あたしも食べることへの興味は奥様と同じですごいですけど、さすがに奥様ほど自分で料理作るのに凝る訳でもなくて。普通に作れる程度なんで、料理上手の奥様羨ましいです」
「まぁ一ノ瀬はまだまだ仕事頑張ってもらわないといけないからな。食べる方の興味だけでいいんじゃないか?」
「ですね。今の仕事で、いろんな料理食べれるので、あたしはもう十分満足です(笑)」
「確かにそうだな。この仕事一ノ瀬に任せて正解だな」
「はい。ホントありがたいです」
「杉崎とはどうだ?うまくやれてるか?」
「あぁ・・はい。杉崎も料理が得意みたいで。ペアで動いてるときは、同じように意見交換し合えるのでやりやすいです」
「そうか。ならよかった。ホントはな、ちょっとペアをどうするか迷ったんだよ」
「そうなんですか?」
「ホントはな、お前らのペアは一番最終候補だったんだ」
そうなんだ・・・。
ホントはあたしと杉崎はペアじゃなかっかたもしれないってこと・・・?
「まぁオレが今までのお前たちの仕事ぶりや関係性を見て、どうペアを作るか独断で決めることになったからな。だから最初は今まで営業部でしっかり形を作ってきた杉崎と塚原には、新人をつけて育成させようかと思ってたんだ」
「なのに、なんでこのペアに?」
「一ノ瀬と杉崎は新人の最初の頃確かにペアを組んでたが、そこまで二人で力を合わせてどんどん結果を出していくって形ではなかったよな」
「はい・・・」
「でもそんな二人だからこそ、いざピンチになったり誰かの力を借りなきゃいけない時にさ、お互いが支え合えて力を発揮出来る二人になるんじゃないかと思ってな」
「なんでそんな風に思ったんですか?」
「そうだなぁ。お前らはお互いのことをちゃんと思い合って、見えないところで支え合ってる二人なんだなと思ったからかな」
「えっ?そんな時ありました?」
「そりゃお前ら二人はそれぞれ知らない話だから。杉崎がメインで動いてる時、全然話を通してもらえない会社があっただろ」
「はい」
「それを一ノ瀬が杉崎が作った資料を持って、別のアプローチの方法で話をつけた。それをお前は杉崎に言うなって言ってたな?」
「はい・・・。あれはたまたまあたしがチャンスがあって、あたしが話を出来ただけで。元は杉崎のあの資料があるからこそだったんで」
「でも一ノ瀬がその資料をもっとブラッシュアップして、わかりやすい資料に作り直してくれてたからだろ?」
「まぁそれは・・・。あの企画の良さをどうしても知ってほしかったので・・」
「あの資料の完成度は、多分杉崎では出来ない内容だった。一ノ瀬の観点が入ったことで、あの角度から突っ込んだ内容になって、より良くあの企画が伝わったんだと思うぞ」
「それなら、よかったです・・」
「それで杉崎も杉崎で、一ノ瀬が別の企画で手が離せない時に、先方からの無茶な要求に、お前に負担かけないように、杉崎が全部引き受けてその企画をやり遂げてくれた」
「はい。それ、あたし知らなくて、さっき亜希から初めて聞いて・・・」
「うん。だからそういうことなんだよ。お前らはなんだかんだいって、お互いの力量を理解していて、それをそれぞれちゃんと自分が出来ることでサポートしようとする気持ちを持っている。それってな、ペアでもなかなか出来ないことなんだよ」
「そういうものですかね・・・」
「そう。だから、今回のペアもお前ら二人で、どれだけの力を見せてくれるか試しくなったんだ」
「なるほど。そういうことだったんですね・・」
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